FXの相場分析手法として用いられる移動平均線。
相場の方向性や平均値の大きさなどを見極めるうえでとても有効なインジゲーターとなっているのです。
そんな移動平均線は明確なエントリーポイントというより、相場の環境認識として使っている人が多い印象となります。
このページでは移動平均線の設定方法から使い方、注意点まで詳しく解説していきます。
ぜひ最後まで読んでいってください。
移動平均線とは
移動平均線とは一定期間の平均価格を算出して、値動きの方向性やトレンドの強弱を測るインジゲーターです。
MT4上の[挿入]→[インディゲーター]→[トレンド]→[Moving Average]の項目順でクリックすると設定が表示されて期間の設定が行えます。
- 移動平均線の期間
- 移動平均線の種別
- 適用価格
- 線の色
これらの設定を行うとチャート上に指定した期間の移動平均線が表示されます。
①の期間で価格の平均を算出したい期間を選びましょう。
上画像では5となっていますが、これはローソク足5本分の平均線が表示されるという事になりますね。
つまり短ければ短いほどローソク足に近い移動平均線が表示され、期間が長いとより大まかな期間での平均線が表示されるという仕組みです。
③の適用価格では[close]となっていますが、このcloseは終値という意味を表します。
この設定で移動平均線を表示させると5本分のローソク足の終値平均が線として表示されるという事です。
始値から算出することも可能ですが、一般的にはこの終値から算出する方がよりよい分析になることが多いので参考にしてみてください。
EMAとSMA
移動平均線には種別があります。
一般的に覚えておきたいのはEMAとSMAといった2種類です。
上画像の②ではSimpleと設定されていますが、これは単純移動平均線(Simple Moving Average)というものです。
この項目でSimpleではなくExponentialを選択すると指数平滑移動平均(Exponential Moving Average)という線が表示されます。
Simpleの単純移動平均線はSMAと呼ばれ、文字通りある一定期間の終値平均価格を算出した線になります。
対してExponentialはEMAと呼ばれ、指定期間の価格を2倍にしてその価格を指定期間で割った線となります。そのためSMAに比べて、より直近の価格に比重をおいた小さな値動きにも敏感に反応するのです。
どちらが良い悪いといったことはないですが、全ての時間足において有効な分析ができるのは後者のEMAです。
短い時間足で表示させても小さな値動きに反応するので、細かな値動きの動向が分析しやすくなります。
移動平均線の使い方と注意点
移動平均線の使い方と注意点について紹介します。
前述したように移動平均線は全てのエントリー根拠として使っている人は少ない傾向です。
あくまでも相場の環境認識や、自身の相場分析を助けるツールとして使っていくことが賢明といえます。
ゴールデンクロスとデッドクロス
移動平均線にはゴールデンクロスとデッドクロスという分析手法が有効となります。
期間を短く設定した移動平均線を短期線、期間の長い移動平均線を長期線としたときに2つの線が交差した際を売買のシグナルとして見る方法です。
実際に見てみましょう。
このチャートにはEMAの赤期間10、黄色期間100で表示させています。
左の線がクロスしたのちに短期線が上、長期線が下にある状態をゴールデンクロスといいます。
反対に線がクロスしたのちに短期線が下、長期線が上にある状態をデッドクロスと呼びそれぞれのトレンド確認ができるのです。
2つの線がクロスすると相場の転換やトレンドの前兆となりやすくなります。
投資家自身が売買シグナルとして意識することもあり、トレンド方向へのエントリーが増えこのようなトレンドを形成するのです。
移動平均線を表示させる際には1本ではなく、短期長期での複数の線を表示させることでトレンド前兆や相場が上下どちらの方向に向かっているかが分析しやすくなります。
シグナル発出にタイムラグが起きやすい
移動平均線は計算方法を考えると、過去の終値の影響を受けるので値動きを後追いする習性があります。
そのためシグナルが発出されるのに[タイムラグ]が発生することを認識しておきましょう。
リアルタイムのレートで短期線と長期線がクロスしていたのを確認しても、時間が経ってローソク足が確定する頃にはクロスしていなかったという事は良くある話です。
そのためトレンドの前兆だと認識し、焦ってエントリーしてしまうとだましに合いやすくなります。
FXで使用する際は1分や5分などの短い時間足で表示させるよりは30分、1時間といった比較的長い時間足で取引を行うデイトレードやスイングトレードにおすすめです。
まとめ
移動平均線は為替相場だけではなく、株式でもよく用いられているインジゲーターです。
様々な使い方や応用方法があるためチャートに表示させておくだけでも分析の勉強に繋がりますね。
しかしあまり多くの線を表示させるとローソク足が見にくくなるので、ある程度本数は限定するといいでしょう。
過去相場に表示させて自身の取引スタイルや手法に合った使い方をしていくことがおすすめです。