こんにちは、ビジョナリーインベスターズのFXロボです。
先日、米国の長期国債(20年,30年)のイールドカーブが逆転したとブログにまとめました👇
ビジョナリーインベスターズのFXロボです。 今週はファンダメンタルの影響が出やすい相場のため FOMC前に注意すべき点をまとめました。 今回注目するポイントは 長期債(20年,30年)のイール[…]
ここで改めてイールドカーブとは何か、おさらいしておこうと思います。
イールドカーブが何かわからない方はわかりやすく解説していきますので、ご覧ください。
イールドカーブとは、なぜ重要?
FXの長期投資やファンダメンタルでの分析をする際は、金融政策決定会合や金利の流れなどを知る事が重要となります。
イールドカーブは、国の景気動向を示すのに重要な指標となり
投資期間の利回りを線で結んだものを指します。
- 縦軸→利回り
- 横軸→残存期間(満期日までの期間)
上記の構図で、投資期間と利回りの関係性を示します。
イールドカーブには3種類存在するので、それぞれについて見ていきましょう。
順イールドカーブ
順イールドカーブは、上図のように短期金利が低く長期金利が高い状態を指します。
長期的なスパンで高金利が見込めるので、経済状況が好転しているいわば好景気の際に見られるものです。
銀行融資が活発化して企業が活性化するほか、住宅ローンなどの変動金利が低くなることで新築の購入をしやすくなるメリットがあります。
逆イールドカーブ
逆イールドカーブは順イールドカーブとは逆で、短期金利が高く長期金利が低い状態を指します。
金融政策によって短期金利が高くなりますが、長期的な金利は下がっていくので未来の高リターンが見込めません。
銀行が融資を渋ったり住宅ローンの変動金利が上がりやすくなることから、経済成長の鈍化、または景気後退の可能性が高まってしまう現象とも言われています。
フラット化イールドカーブ
フラット化イールドカーブは前述した2つの現象とは異なり、一定水準の金利が続く現象を指します。
景気拡大は過熱しすぎるとバブルを引き起こし、その後の崩壊が懸念されるものです。
各国の中央銀行などがバブル崩壊を未然に防ぐために短期金利を引き上げて、長期金利と同等の水準にするケースがあります。
イールドカーブごとの投資家心理
イールドカーブは、投資家の心理に大きな影響を与えるものとなります。
前述した現象は通貨ごとの金利や住宅ローン金利だけではなく、国債などの金利でも表現されるものです。
- 順イールドカーブ→経済好転への期待
- 逆イールドカーブ→経済後退への不安
- フラット化イールドカーブ→投資家心理を不安定にさせる
このように、経済状況が好転するか後退されるかが予測されるものとなるので、必然的に投資家心理にも影響しやすいです。
経済好転の期待による通貨買い、経済後退の不安による通貨売りというように、金利動向がFX市場に直接影響する事も珍しくありません。
逆イールドカーブによるアメリカ経済の不安
2021年11月に行われたアメリカのFOMCでは、ゼロ金利政策の維持と量的緩和の段階的な縮小が決定されました。
国債などの資産買い入れの減少、いわゆるテーパリングを11月末から2022年の半ばまでに終了すると名言した形です。
これは投資家心理に大きな影響を与える問題で、多くの市場関係者が注目している出来事となっています。
米国債利回りが逆イールドカーブ化
2021年10月28日の米国債市場では、20年と30年債のイールドカーブが逆転をしました。
短期金利が高く長期金利が低くなっている状況から、アメリカ市場の大きな懸念として捉えられているのです。
前述したように、逆イールドカーブは景気後退への懸念に繋がります。
長期的に国債を保有するメリットが薄くなってしまうので、一部ではアメリカはこのまま不景気になるのではないかという声が広まっている状況です。
主要人物は大きく問題視していない
今回のテーパリングや米国債の逆イールドカーブに関しては、主要人物の発言などを見るとあまり問題視されていない事が分かります。
- 20年債・30年債部分の現在のカーブは、市場全般に見られるフラット化のテーマを反映したものにすぎない。
(TDセキュリティーズグローバル金利戦略責任者プリヤ・ミスラ氏の米国債に関する発言) - ビハインド・ザ・カーブ(逆イールドカーブ)になっているとは思わない。我々は今後の展開に対応できる良い立ち位置にいる。
(米FRB議長パウエル氏の政策金利に関する発言)
2013年に当時のFRB議長であったベン・バーナンキ氏がテーパリングによる発言をした時は、為替や株式市場が大きな混乱を招きました。
しかし、今回は株式も堅調で米ドル円相場を見てもそれほど大きな動きはなく、投資家達もそれほど大きく問題視をしているわけではないと考えていいでしょう。
景気は6~7年ほどで上昇、その後1年ほどでスローダウンするサイクルが一般的です。
パウエル議長はテーパリングに関して、「経済見通しの変化によっては縮小ペースを調節する」としながらも、2022年半ばでの終了が公言されている事もあり大きな懸念材料にはならないものと投資かが判断しているように思われます。
米国債の逆イールドカーブに関しても一時的な問題と考えられている傾向にあり、今後アメリカの経済は極端に落ち込んでしまうという悲観的な意見は少数派と言えるでしょう。