8月1週目の為替相場を振り返ります。
チャート上には、複合型移動平均線のGMMAを表示させています。
USD/JPYの振り返り
USD/JPY1時間足です。7月の前半から円高傾向の相場になっていました。
7月29日〜8月2日の相場を見ても、大きく下落していることが分かります。
主な変動要因は以下の通りです。
- 日銀の追加利上げにより円買いが先行
- FRBは8会合連続の据え置きも、早期利下げ観測で米ドル売りが加速
- 米国雇用統計で雇用者数が減少し、米ドルの売りが加速
週の前半は目立った動きもなく、レンジ相場で153円〜155円台を推移していました。
7月31日には日銀とFRB両方の政策金利があり大きく相場が動きます。
2024年3月にマイナス金利を解除していた日銀ですが、マイナス解除以降は金利を据え置いていました。
しかし、今回の7月会合では追加利上げを実施します。市場予想通りではありましたが、市場は大きく反応し、円買いが加速しました。
その後は日本時間深夜にFOMCがありますが、FRBは8会合連続での据え置きを示します。
しかし、FRB議長は9月会合での利下げを示唆しており、市場では早期利下げの方針がハト派姿勢と捉えられドル売りが進行しました。
また、週末金曜の雇用統計では、市場予想を下回ったことから再度米ドル売りが強くなり、146円台まで下落しています。
今週のポイント(テクニカル)
今週のUSD/JPY相場のテクニカルは、日足チャートで見ていきます。
現在は、高値からの急落となっていますが、急落後は反発する可能性もあるので注意です。
今後、仮に下落するとしても、一時的な反発を見せてから下落する可能性が高いです。
ロング勢の損切りが影響すると見て良いでしょう。
現在の相場は下目線に切り替わっており、意識されるとすればまず146円台の直近安値です。
また、146円台を下回った場合は、140〜145円台の価格帯を更新できるかが重要になります。
146円は2024年2月、3月につけた安値のラインであり、強く意識されるであろう価格帯です。
直近相場のボラティリティはとても高くなっているので、充分更新できる範囲と言えるでしょう。
今週のポイント(ファンダメンタルズ)
今週のUSD/JPY相場で注意すべきファンダメンタルズ的要因は以下の通りです。
- 日銀政策金融決定会合議事要旨の内容
- カナダ失業率・新規雇用者数指標の結果による米ドルの連動
- 前週の急変動による投資家の様子見感
まずは、月曜の日銀政策金融決定会合の議事要旨が意識されます。
先週に追加利上げを実施した日銀ですが、今後の追加利上げに慎重な姿勢を示しているようでは、円買いはそれほど進まない可能性もあるでしょう。
また、今週は目立った米指標がないので、金曜のカナダ指標が米ドルでの連動に影響してくると考えられます。
先週は各重要指標の影響で日本円・米ドルの両方で大きく動いたため、今週は投資家達も様子見に入り、停滞する可能性があるでしょう。
EUR/JPYの振り返り
EUR/JPY1時間足です。
EUR/JPYも7月上旬から円買いの影響で下落相場が続いていました。
今週の相場を見ても円買いの影響が強く出ており、以下のような要因で下落相場になっています。
- 日銀の追加利上げにより、日欧の金利差縮小懸念から下落
- EU指標によるユーロ買いも、円買いの影響が強く下降トレンド形成
ECBでは7月会合で追加利下げに転じており、ユーロ売りも強い相場が続いていました。
しかし、7月末にはGDP速報値で2期連続の+成長、CPIでのインフレ懸念が加速して、ユーロは若干の買いが強い相場でした。
しかし、EUR/JPY相場で見ると、円での影響が強かったと言えるでしょう。
日銀の追加利上げが円の買いを加速させ、167円台から160円台まで約7円の大幅下落となっています。
また、週末の金曜日にも円買いが入り、159円台で終値を迎えています。
今週のポイント(テクニカル)
今週のEUR/JPYのポイントをテクニカル面で見ていきます。
EUR/JPY相場もUSD/JPY同様に日足チャートで見ていきます。
こちらも円買いの影響が強く出ており、高値圏から急落している相場です。
そのため、一時的な反発の可能性があるでしょう。
仮にショートを入れるとしても、調整局面を確認してからの方が良さそうです。
日足チャートで見ると、2024年1月につけた158円が意識されると考えられます。
調整後に158円台に挑戦すれば下抜けする可能性もあるでしょう。
158円台を下抜けをすれば、次の安値は153円台となります。
上昇方向への反発の可能性も考えると、162円〜164円台の価格が高値として機能するかが重要です。
今週のポイント(ファンダメンタルズ)
今週のEUR/JPY相場のファンダメンタルズ的要因は以下の通りです。
- 日銀政策金融決定会合議事要旨の内容
- EUのインフレ率加速懸念が利下げペース鈍化と捉えられる可能性
今週は、EUの方でも目立った指標はありません。
そのため、先週に比べると大きな動きにならない可能性が高いでしょう。
現在は円買いの影響でクロス円全体の下落が続いていますが、ユーロは売りではなく買いの可能性も出てきました。
ECBでは追加利下げを実施しましたが、先週のCPIではインフレ継続が懸念される結果でした。
追加利下げのペースが鈍化する可能性もあり、高金利の維持が続くと捉えられる可能性もあり得るでしょう。
すると、ユーロの売りはそこまで加速せず、現在価格付近での停滞が続くケースも想定されます。
EUR/USDの振り返り
EUR/USD1時間足の様子です。
EUR/USDは、7月中旬まで上昇相場でした。
しかし、7月中旬以降はユーロの売りが加速したことで、下落相場に切り替わります。
今回の相場を見ても、安値を切り下げながら下降トレンドが継続しました。
価格変動の要因は以下の通りです。
- 週始めは米ドルとユーロの売り買いが均衡してレンジを形成
- 7月31日にはユーロのインフレ懸念からユーロ買い加速
- 直後のFOMCで早期利下げ観測から米ドル売り加速
- 投機筋のドル買いが加速して一時的な安値更新
- 8月1日の雇用統計で米ドル売りが加速し急騰
EUR/USD相場はクロス円相場のような大幅下落ではありません。
ドルは一時的に売られる場面もありましたが、週後半は投機筋のドル買いも見られたため、大きく下落する場面も見られました。
一時はユーロの買いで上昇する場面もありましたが、週を通して売りが強い相場でもあったと言えるでしょう。
しかし、週末の金曜には雇用統計の影響で大きく上昇しています。
これまでのレンジ相場を大きく更新し、1077ドルから1.092ドルまで大幅な上昇となりました。
今週のポイント(テクニカル)
今週のEUR/USD相場をテクニカル面で見ていきます。
EUR/USDは30分足で見ていきましょう。
EUR/USDの相場を見ると、7月の後半から1.080ドルの価格が強く意識されていたことが分かります。
8月1日にドル買いの影響で下抜けしていますが、再度反発して上値として機能していました。
EUR/USDは、長期的に見ると下目線、短期的には上目線のように見えますが、米ドルの売りが強くなっている現在は明確な方向性が見えない状況と言えるでしょう。
安値圏でレンジを形成後に急騰している状態なので、今週の始めは現在価格で停滞すると見ています。
ローソク足も上下のヒゲが頻発しているので、上昇・下落のどちらに転んでもおかしくありません。
上昇するなら1.094ドルを明確に更新、下落するなら1.077ドルを明確に更新するのが条件となります。
今週のポイント(ファンダメンタルズ)
今週のEUR/USD相場をファンダメンタルズのポイントで見ていきます。
重要指標は少ないので、以下の買い・売り材料を重視しましょう。
- 上昇要因:ECBのインフレ懸念加速によるユーロ買い、FRBの早期追加利下げ観測
- 下落要因:ECBが追加利下げ観測によるユーロ売り、米インフレ懸念の加速
米ドルも重要ですが、ECBの動向に注目が集まるでしょう。
ECBは追加利下げを実施しているものの、インフレ懸念は収まっていません。
そのため、年内の利下げペースが鈍化すると捉えられれば、ユーロの買いが増す可能性があります。
米ドルでも9月利下げの見通しですが、FRBの姿勢次第で米ドルの買い・売りの両方に転じてもおかしくないです。
市場ニュースをチェックした上で、短期的な動向を分析しましょう。
まとめ
USD/JPY→日銀追加利上げや米経済悪化で下落の懸念、146円台を明確に更新できるかが重要。
EUR/JPY→利下げペース鈍化からユーロは買われる可能性あり。2024年1月につけた158円が意識される相場。
EUR/USD→米ドルでの変動要因が大きく明確な方向性は決まっていない。上昇するなら1.094ドルを明確に更新、下落するなら1.077ドルを明確に更新するのが条件。
日銀の追加利上げや米経済悪化懸念で相場が大きく動いています。
今週は大きな指標がないため、市場も落ち着くことが予想されます。
しかし、急騰・急落のリスクは充分あるため、引き続き警戒して取引を行いましょう。