FXの通貨ペアと相関性について 【FX用語解説】

FXの相場分析では通貨ペアの相関性を見ると有効性が増します。

通貨の強弱を見ることで、値動きの動向が分析できるようになるのです。

 

相場分析をする上でとても重要な分析方法となります。

ぜひ最後まで読んで自身のトレードにお役立てください。

 

通貨ペアの相関性とは

FXで取引できる通貨ペアは2国間の通貨によって形成されています。

USD/JPYであれば米ドルと日本円、EUR/JPYであればEUのユーロと日本円といったように2国間通貨で構成されているのです。

つまりUSD/JPYが下落すればドル売り円買いであると判断でき、必然的にEUR/JPYも同じように下落する傾向にあります。

このように通貨の強弱を測る指標を通貨ペアの相関性というのです。

上のチャート画像は12月16日の1時間足チャートです。

USD/JPYとEUR/JPYが同じように下落しているのが分かりますね。

 

ところがEUR/USDを見るとトレンドを作る訳ではなくレンジ相場になっています。

この時の相場状況は円の買いが強いという事が読み取れます。

これがドル売りによって発生した下落であればEUR/USDは大きな上昇に転じるはずですが、レンジ相場であるという事は米ドルの売りよりも円の買いが強い証拠です。

通貨の相関はこのように複数の通貨ペアを見て分析を行います。

 

関連通貨が逆方向へと動いた時

先ほどの例でいうとUSD/JPYとEUR/JPYといったクロス円通貨が別々の方向に動いた場合は円以外の通貨が基軸として動いていると捉えられます。

円が基軸となって動いているわけでなく、米ドルとユーロの売り買いが強い状態です。

その場合はは米ドルとユーロの通貨ペアであるEUR/USDの動きを見てあげると、どの通貨が強く動いているかが把握できるのです。

複数の関連する通貨ペアをMT4上に表示させておくことで通貨の相関性が分析できます。

 

具体的な相関性のある通貨やモノ

  • オーストラリアドル

株式(NYダウ)とAUD/JPY

AUDと元や中国株が相関性のある動きをすることが多いです。

この理由は中国はオーストラリアの最大の貿易相手国なので影響が大きく相関性が高いです。

またオセアニア圏はほぼ同じ動きになります。オーストラリアドルとニュージーランドドルはほぼ同じ動きなりますが、違いが出るとすれば政策金利の差で異なる動きをします。

 

  • 原油・資源

株式と相関性が高いですが、実際の経済などに大きく影響を受けることもあります。
例えばコロナウイルスによるロックダウンが続き経済が落ち込む、となった2020年の4月は原油価格がマイナスまで下がった例もあるので、実体経済の状況をよく見る必要があります。

また原油が大きく動いた時は、資源国(オーストラリアドル・カナダドル・NZドル)の影響が大きくあります。

 

原油が消費されなくなると他の資源も消費されなくなるためです。

具体的な資源は鉄鋼、石炭、銅などが挙げられます。

特に銅の価格は実需しかないので、価格変動が少ないためリスクオンオフが確認しやすくなります。

銅の価格が上がれば、経済が回っており株が上がりやすい(相関性が高い)など目安になります。

 

 

  • ゴールド(金)

長期的に見ると、米国債10年利回り、ビットコインと相関性(逆相関)があります。

特にゴールドと、ビットコインには共通点があります。

どちらも、インフレリスクに強いです。

ゴールドは実際に採掘される量(地球にある総量)が決まっています。

ビットコインも発行上限が決まっており増やすことはできません。

 

特にゴールドはリスクオフの時に買われるものとして選ばれやすいです。

リスクオフ時にはゴールドとドルが逆相関することもあります。(時期によります)

 

ゴールドはドル建てで買われるので、米国債の金利が高い時はドル需要が高まってみんながドルを買います。

10年債が買われ、10年債利回りが低下すると、利回りのつかないゴールドは相対的に買われる事があります。

逆に10年債の利回りが投資妙味の高い値と判断されると、ドル需要が高まってゴールドは売られます。

長期的に見るとゴールドと米国債10年利回りは相関しているように見えますね。

 

 

リスクオンの時に買われやすい通貨・リスクオフの時に買われやすい通貨

リスクオンの時に買われやすい通貨(もの)

カナダドル・ボンド・オーストラリアドル・ニュージーランドドル・原油・米国株式・ビットコイン

 

リスクオフの時に買われやすい通貨(もの)

円・フラン・米国債・(ドル・ユーロ※)・ゴールド

※ドル・ユーロは時期によりリスクオンオフが変動します。

 

例えば 、

リスクオフ時のEUR/AUDだとユーロが強くなる傾向があるため、チャート上では上昇傾向になります。

リスクオン時のCAD/JPYだとカナダドルが強くなる傾向があるので、チャート上では上昇傾向になります。

リスクオン時のEUR/USDだとユーロが強くなる傾向があるのでチャート上では上昇傾向になります。

相関分析にはUSD/JPYも参考に

USD/JPYは世界で最も取引されている通貨ペアとなります。

相関性の分析時には米ドルと円の動きが顕著に表れて、他の通貨ペアの分析する際にも有効です。

 

USD/JPY上昇の場合はドル買い円売り、下落の場合はドル売り円買いとなりますね。

他通貨のドルストレート、クロス円通貨で取引する際に最も注目すべき通貨ペアであるといえます。

 

例えばGBP/USDでロングのエントリーをしようとした場合、その時のUSD/JPYが上昇していたら1つの懸念材料です。

ドル買いの可能性があるので、ポンドの力が弱くなると下落に転じる可能性があります。

相関性を見るときにはUSD/JPYに限らず、取引量の多い通貨ペアを見て分析しましょう。

またUSD/JPYはどちらも比較的リスクオフ時に買われやすい通貨ペアになりますので、USD/JPYのみのトレードは動きが見えづらくなることもあります。

 

相関と通貨ペアによる値動きのクセ

次に相関と通貨ペアのクセについて紹介します。

通貨ペアの相関を見るときは各通貨のクセについて理解しておくと、より有効な分析へと繋がります。

 

AUD/NZDは相関性が読みにくい通貨ペア

オーストラリアとニュージーランドは同じ英連邦加盟国です。

オセアニア圏にあり、国として密接な関係にあることから同じような値動きになることが多くなります

AUD/USD、NZD/USDを見て相関性を分析しようとしても、同じような動きをしているとどちらの通貨で強弱がついているのかを把握することが難しいです。

先ほども書いたように政策金利の差が出た時にトレンドが発生します。

豪ドル買いで二ュージードル売りの構図になるとAUD/NZDロングのチャンスですね。

反対に豪ドル売りでニュージードル買いが確認できればAUD/NZDショートのチャンスといえます。

 

またオーストラリアはカナダと同じ資源国なので、経済指標の時には連動して同じ動きになる傾向にあります。

豪ドル買いを予測していてもカナダドルが売られれば下落する可能性が高いので注意しましょう。

 

安全資産の円、フラン

日本円は世界中の投資家から安全資産として人気の通貨です。第2位にスイス・フランがあります。

大規模なデモがなかったり暴落のリスクが低いことから、世界的に大きなニュースや自然災害があった場合は真っ先に買われる傾向にあります。

日本で自然災害が発生した場合でも日本円が買われる事があるくらい安全資産としての認識が強い通貨です。

世界的に大きな事件やニュースが出ると全てのクロス円通貨ペアに影響を与える傾向にあるので注意しましょう。

 

機関投資家の介入

機関投資家といわれる大口投資家が市場に参加して売買をすると、全ての通貨ペアが一斉に動く傾向にあります。

全ての通貨ペアで一斉に動き出すと、どの通貨が起点となって動いているかが読みにくいです。

テクニカル分析や相関の分析がしにくくなってしまうので、機関投資家の介入が予想される場合は相場が落ち着くまで様子を見ることをおすすめします。

 

まとめ

 

通貨の相関は長い時間足で見るより、1分や5分といった短い時間足で見ると分析がしやすいです。

長い時間足ではどうしても細かい値動きを確認できないので、通貨の強弱が見にくくなってしまいます。

エントリー後も通貨の相関を見ることで決済のタイミングが測れるようになってくるので、意識して分析してみましょう。

金融市場は常に流動的でありますので、現在どのようなルールで市場が動いているのか?という事を判断する力が必要ですね。

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