アメリカがマイナス金利政策を導入する可能性が取りざたされています。
コロナウィルスの影響で、2020年第2四半期のアメリカのGDP成長率は、マイナス32.9%にまで落ち込んでいます。
そのため、景気回復の切り札として、マイナス金利の導入が検討されているのです。
アメリカFRBがマイナス金利政策を導入!?
マイナス金利になると、銀行は
「どうせなら手持ちの資金をできるだけ貸し出してしまおう」と考え、「個人や企業が気軽に借りられるようになるはずだ、そうすれば景気も良くなる」と考えているのです。
もちろん、普通資金を持っていれば利子が付くものなので、マイナス金利政策はあくまで緊急時の政策です。
当然、副作用もあります。
一番大きい副作用は、貸出金利が低くなるので、銀行の収益が悪化することです。
銀行の収益が悪化すると、銀行は貸し出し額を増やすことができませんので、経済は冷え込みます。
何のためにマイナス金利政策をとるのか分からなくなってしまうので、連邦準備制度理事会はマイナス金利政策の導入に慎重です。
しかし、アメリカ大統領選挙で劣勢のトランプ現大統領は、景気対策をアピールするために、マイナス金利の導入に積極的です。
そのため、アメリカがマイナス金利を導入する可能性があるのです。
では、アメリカがマイナス金利を導入すると、ドル円相場はどのように動くでしょうか?
結論からいうと、その場合円高に動くことが予想されます!
なぜでしょうか?
理由を解説していきたいと思います。
アメリカがマイナス金利を導入すると、円高が進む理由
マイナス金利政策は、資金の貸し手である投資家にとっては不利な政策です。
政策金利が下がると、借り手は安く資金を調達できるようになりますが、貸し手からすれば資金を安く貸さなければいけないことになるからです。
世界中の投資家からすると、資金をドルで持っていても、得られる利益が減ってしまいます。
そのため、ドル以外で資金を持っていたほうが良い、という判断をするのです。
では、ドルの代わりにどの通貨が買われるでしょうか?
現在、世界中でコロナウィルスが大流行しており、景気の先行きは不透明です。
日本は、対外資産の額が対外債務の額を大きく上回っている債権国であるため、政治経済の情勢が不安定になると、海外への投資資金を円に換えて回収する流れが生まれると予想されます。
しかも日本は世界中で最大の対外資産を持っているために、有事に円を買う流れは他通貨買いの勢いに比べても強いというのが世界中の投資家の認識です。
その結果、コロナウィルスが大流行している今日、ドル安円高に動くことが予想されます。
ただ、それほど大きく円高に振れることはないと予想されます。
ドルの政策金利がマイナスになったとしても、円の政策金利は既にマイナス0.1%まで下がっています。
ドルを持っていてもお金にならないのは確かですが、ドルの代わりに円を持っていてもやはりお金にならないのです。
日本経済もマイナス28.1%の落ち込みになっており、日本株に投資をしてもそれほど高い収益性は望めません。
そのため、アメリカがマイナス金利政策を採用した場合、米ドル円は大きくどちらか一方に値が動くことなく、多少円高に向かうと予想されます。