8月3週目の為替相場を振り返ります。
チャート上には、複合型移動平均線のGMMAを表示させています。
USD/JPYの振り返り
USD/JPY30分足の様子です。
今回は、8月初週のような極端な値動きではなかったため、1時間足ではなく30分足で細かい動きを見ていきます。
前の週にそれほど大きな動きがなかったUSD/JPYですが、今回も前半は目立った動きを見せません。
以下のような要因が考えられます。
- 日本が月曜日に祝日だった
- 祝日ではないがお盆期間のため日本の市場参加者が少ない
- 8月前半に大きく動いた影響で投資家達が様子見に入った
- 前回から続く若干の円安ドル高から介入の警戒感が増した
- 米CPIの結果が市場予想通りであった
8月前半には一時141円台まで価格を下げたUSD/JPY相場でしたが、初週の段階では146円〜148円台を推移していました。8月前半に比べて円安ドル高が進んでいる状況です。
そのため、前回の急落等の警戒感が強まっていたとも言えるでしょう。
再度大きく上昇するようであれば介入の可能性も充分あると考えられたのではないかと捉えられます。
また、水曜日には米CPIの結果が注目されていましたが、市場予想通りであったため、大きな動きには至っていません。
相場が大きく動いたのは木曜日の夜に発表された米小売り売上高の指標です。
7月の売上高が前月比1%増と市場予想を大きく上回ったことで、米ドルに買いが集中します。
一時は149円台までの大幅な上昇を見せていますが、高金利によって懸念されていた米経済にとってポジティブな材料になった形です。
しかし、週末にかけてはドルの売りが再開し、147.59円台まで下げて終値を迎えました。
今週のポイント(テクニカル)
今週のUSD/JPYのポイントをテクニカル面で見ていきます。
USD/JPY1時間足です。
7月下旬からの価格動向を示したものですが、最初に急落、そして現在にかけて徐々に反発していることが分かります。
反発しているとは言えども、まだ明確な転換には至っていないと言えるでしょう。
まだ安値圏で停滞している状況なので、今後再度下落してきてもおかしくはないです。
黒い〇の現在価格付近での動きが重要になってくると考えられます。
- 下落の場合→現在価格の147.5円台を明確に更新後、145.5円台の挑戦
- 上昇の場合→149.1円台を明確に更新
ボラティリティは低下しているので、今週に141円台の更新をするとは考えにくいです。
また、上昇に転じるとすれば、149.1円台の価格を更新してくれば、150円台の突入も考えられます。
直近での意識される価格帯での動きが今後の短期的な変動に影響してくると考えて良いでしょう。
今週のポイント(ファンダメンタルズ)
今週のUSD/JPYでのファンダメンタルズ的な要因は以下の通りです。
- 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
- 8月23日のパウエル議長発言
- 日本の消費者物価指数(CPI)
上記のような経済指標に注目しておくべきと言えます。
8月21日には、FOMCの議事要旨が発表され、その後金曜にはパウエル議長の会見があります。
9月会合での利下げを開始すると見られるFRBですが、直近での米指標の結果が良かったこともあり、まだインフレ改善の方針を打ち出す可能性もないわけではありません。
米金利動向が今後8月後半〜9月にかけての米ドル変動に大きな影響を与えるでしょう。
また、8月23日に発表される日本の消費者物価指数にも注意が必要です。
円高が落ち着いたのは日銀副総裁が利下げを急がないとしたことが影響しましたが、物価高が懸念されるようでは、再度追加利上げの可能性から円買いが進行する可能性も考えらえます。
EUR/JPYの振り返り
EUR/JPY30分足です。
今回はUSD/JPYと若干異なる動きを見せている事が分かります。
週の前半から中盤にかけて上昇トレンドを形成しました。
円売りの影響もありますが、以下のような要因でユーロ買いが加速しています。
- ユーロ圏の実質GDPがプラス成長に転じる
- ECBは早期の追加利下げを急がない方針
アメリカでは経済の悪化から早期利下げを求める声が増えています。
対象的にユーロ圏の実質GDPは+成長にありますが、ECBも利下げを急がない方針を掲げていることから、ユーロの買いが進行した形です。
円も徐々に売られていることから、上昇トレンドを形成したと言えるでしょう。8月15日は米小売売上高の指標で相対的な円売りが進んだことで、163円台後半まで上昇を見せます。しかし、上昇は長く続かず、週後半には調整の円買いで小さく下落しています。
今週のポイント(テクニカル)
EUR/JPYのテクニカルは、日足チャートで見ていきます。
以下は、EUR/JPYの2023年205月後半〜8月現在までの動向を示したチャートです。
長期チャートで見ると、まだ上昇トレンドの過程にあると考えて良いでしょう。
ユーロの堅調な動きを見ると、短期的には極端な下落の可能性は低いと見ています。
まずは、直近の円買いによる下落が明確な押し目として機能できるかが重要です。
現在価格が162.7円台ですが、直近では2023年11月につけた高値の164.1円あたりの価格帯が意識されると考えます。
164.1円台までの挑戦が鍵になってくるでしょう。
しかし、まだ大きな上昇とは言えないので、仮に上昇したとしてもラインで押し戻される可能性も充分あり得ます。
今週〜来週にかけては月末ということで、現在価格付近で停滞して投資家も様子見に入るケースも考えられるので注意です。
今週のポイント(ファンダメンタルズ)
EUR/JPYのファンダメンタルズ要因は以下の通りです。
- EU7月消費者物価指数改定値
- ECBの金利動向に関する発言や情報
- 日本の消費者物価指数の結果による追加利上げの可能性
今週の火曜日には、EUの消費者物価指数が発表されます。
注目度の高い指標ではありますが、あくまでも改定値であるため、速報値に比べて大きな動きになるケースは少ないです。
市場予想と少しのズレが生じた場合、高金利状態維持が追加利下げの判断となり、ユーロの売買に影響を与えるでしょう。
また、こちらも日本の消費者物価指数に警戒してください。
前の週はユーロ起点での動きも見られましたが、再度円が基軸となって動く可能性もあります。
EUR/USDの振り返り
EUR/USD30分足の様子です。
週を通して以下のような要因で変動しました。
- 週の前半→米・欧の対照的な経済状況により、ユーロ買い、ドル売り継続で直近高値を更新
- 8月15日→米指標の影響でドル買い進み急落
- 週後半→調整による米ドル売りが再度加速して上昇
上昇→下落→上昇を繰り返した相場です。
現在は、米経済の悪化が懸念される中でEUは堅調な経済指標の結果となったことで、消去法とも呼べるユーロ売りが強い相場となりました。
金融政策は両方で利下げ方針ですが、利下げを急いでいないECBと急ぐFRBの対象的な方針も影響したと言えるでしょう。
8月15日には米小売り売上高の影響で下落しますが、週後半には再度米ドル売りが強くなり上昇を見せています。
週後半にはユーロの買いはそれほど見られておらず、米ドルの影響が強かったと考えられます。
今週のポイント(テクニカル)
今週のEUR/USDをテクニカル面で分析します。
EUR/USD1時間足の様子です。
現在のEUR/USDは、一時的な下落を経験しつつも、上昇トレンドの過程にある状況です。
ユーロ買い、ドル売りが強いのを考えると、まだ上昇の予兆はありそうです。
まず、下落しても8月上旬に付けた前回高値である1.100ドルあたりで反発できるかが重要になってくるでしょう。
その後は、前週に付けた高値への挑戦をしたのちに更新できるかどうかです。
週を通して徐々の上昇するようであれば、高値の更新が見込めます。
急騰で更新した場合は反発も早く、結果的に現在価格付近で停滞する可能性もあるので、細かい動きを見極めていきましょう。
今週のポイント(ファンダメンタルズ)
今週のEUR/USD相場で重要となるファンダメンタルズ要因は以下の通りです。
- 米・欧の金融政策、経済状況を示すニュースの影響
- FOMCやECB金融政策決定会合の議事要旨
米・欧で対象的とお伝えしましたが、短期間で市場の反応は変わりやすいです。
現に、アメリカでは8月上旬に経済悪化が懸念されて米ドルの売りを招きましたが、8月15日の小売売上高が市場予想を大きく上回り一時的な米ドル買いとなっています。
現在はユーロの方が堅調な動きですが、市場の反応も敏感になっているため、転換する可能性も充分あるでしょう。
また、FRBやECBの金融政策動向にも引き続き警戒して取引をしてください。
まとめ
USD/JPY→ボラティリティは低下しているため、今週に141円台の更新をするとは考えにくい。上昇に転じるとすれば、149.1円台の価格を更新してくれば、150円台の突入も考えられる。
EUR/JPY→164.1円台までの挑戦が鍵。
まだ大きな上昇とは言えないため、仮に上昇したとしてもラインで押し戻される可能性も充分あり得る。
EUR/USD→ユーロ買い、ドル売りが強いのを考えると、まだ上昇の予兆はありそうな相場。下落しても8月上旬に付けた前回高値である1.100ドルあたりで反発できるかが重要になる。
日本ではお盆期間も明けて本格的に8月後半のスタートです。
各通貨ペアで、ファンダメンタルズ的な要因での変動が増えていますが、多方面での分析をしつつ難しい相場を乗り越えていきましょう。