ファンダ、とかファンダメンタルとか
よく聞くと思いますが、いまさら聞けない、
この超ベーシック用語について、整理したいと思います。
ファンダメンタルの定義
ファンダメンタルは、
- 国の経済つまり、国の金利の交換であるFXの分析を行うマクロ分析
- 個別企業の業績を予測するミクロ分析
に大別されます。
本稿では、このマクロ分析に
絞って解説をすすめていきます。
ファンダメンタル分析の長所
ファンダメンタル分析は、トレーダーが必要な情報を収集し、
どのポジションを取るかについて、
WHATについて、決める。
つまり、何を買うか。
株なのか、通貨なのか、商品なのか?
合理的な決定を下すために用いられます。
各種のデータに基づいて決定を下すことで、
個人的先入観やバイアスが入り込む余地が
限定されるため、より合理的になります。
ファンダメンタル分析は売買のポイントの
タイミングを決めるのではなく、トレーダー
は長期的な視野で市場を判断するのに適します。
ファンダメンタル分析共通の短所
ファンダメンタル分析はかなりの
時間を要し、数多くのデータから分析するため、
複雑になりがちです。
また、長期的な視野で
市場を把握しようとするため、短期の
トレードには向いていません。
その観点からは、短期的な取引を中心に
行っているトレーダーは、テクニカル
分析の方を重視するスタイルが適して
いるでしょう。
また、ベストケースとワーストケース
のシナリオを考慮することも重要です。
これらのシナリオを構築するためには、
経済関連の指標のみならず政治の状況
や社会情勢といった分析が、必要になります。
マクロ(FX) ファンダメンタル分析の視点
マクロ経済(FX)のファンダメンタルとは、
マクロ経済の、雇用・生産・物価などの
「基礎的な」事項を指します。
それらを元に金利や資産価格などが
フェアかどうか判断します。
全てに影響する、「土台の情報」
だからファンダメンタルなのです。
視点その1:中央銀行とは
ファンダメンタルの1丁目1番地は
その国の中央銀行になります。
中央銀行とは通常の銀行とは異なり、
国や一定の地域の金融システムの
中核となる機関です。 日本では日本
銀行が中央銀行に該当します。
中央銀行の主な機能は次の3つです。
- 貨幣の発行 具体的には通貨供給量の決定です。
- 銀行の銀行 その国の金融システムを安定的に稼働させる役割を担っています。
- 政府の銀行 政府の口座を管理し、国民からの税金等の受け入れや国債の償還、利払いなど政府の収入と支出を行います。
視点その2:中央銀行のメッセージ
中央銀行は、定期的に
経済の状況に合わせて金融政策を検討し
会合を行うのが一般的です。
その会合で金融政策の変更が行われるとFX
市場に大きなインパクトとなることが多く、
変更が行われなかったとしても、会合の結果
を発表する声明文や中央銀行関係者の記者
会見などでのコメントから、今後の金融政策
を予想する上で重要なサイン、ヒントなどが
出てくることがあるため、注目度が高いです。
【主な中央銀行からのメッセージ】の構成
- 声明文
- 記者会見
- 会合議事録
- 経済見通しレポート
が一般的です。
視点その3:GDP
国の経済成長率を把握することのできる代表
的な指標GDPは、中央銀行が最も注目する
重要経済指標の一つです。
ただし、GDPの発表は四半期毎ということ
で、速報性に欠けるということもあります。
視点その4:雇用関係の経済指標
米国やオーストラリアのように物価の安定に
加えて、雇用の最大化を義務(マンデート)
をダブルに掲げている中央銀行は失業率や
雇用者数の変化などの労働市場に関する
データである、「雇用統計」(正式名称は
非農業部門就業者数)に注目しています。
米国人はこれをNFPと呼びます。
NFPはNon-Farm Payrollの略です。
FX市場でもこれらの国の雇用データの結果
に大きく反応することがあります。
視点その5:先行する経済指標
例えば、物価が上昇する前に景気の改善が
見られたり、原油価格などの資源価格が
上昇する傾向があります。
また、GDPは四半期毎に発表されますが、
毎月発表される鉱工業生産や小売売上等の
各種経済指標の結果が先行しており、GDP
の速報値が発表されるタイミングにはほぼ
結果が予想できてしまうため、毎月の経済
指標の結果に注目が集まります。
視点その6:金融緩和策
金融緩和策もFXにとって、とても重要な
金融政策になります。
金融緩和策の代表的なものは
- 「政策金利の利下げ」
- 「量的緩和政策」
です。
金融緩和では主に基本的には政策金利の
利下げを行いますが、それだけでは景気の
回復、物価上昇率の引き上げが難しいと
中央銀行が判断した場合に量的緩和が行われます。
このため、
- 政策金利の調整を「伝統的政策」
- 量的緩和を「非伝統的政策」
と表現されることもあります。
政策金利の利下げは最も代表的な金融緩和政策です。
政策金利を下げることにより、景気を刺激し、
物価の上昇を促す金融政策です。
教科書通りというヤツです。
景気が悪くなると、一般的に銀行は貸した
お金が返ってこなくなるリスクが高くなる
ので、金利を高くしたり、審査を厳しくし
たりして備えるので、お金が借りにくくなります。
結果、世の中のお金の流れが鈍くなります。
景気が悪いと、先行き不安で企業は設備投資
を見送ったり、採用を手控えたりし、出金を
抑えるようになります。
雇用が減ったり、給料があまり増えなくなる
ので、個人も同様にお金を使わなくなります。
つまり、モノの需要が減少しデフレスパイ
ラルにはまっていくので、デフレはなかなか
抜け出せないのです。
日本は30年以上もこの状態から抜け出せない
で今日に至っている、残念な状態が続いています。
中央銀行はインフレファイターといわれて
いるので、日銀は優秀すぎるのかもしれませんね。
まとめ
これらの経済指標の動向と中央銀行関係者
からのコメントを照らし合わせながら中央
銀行の動向を探っていくのがファンダメン
タルの基本的な方法です。
簡単にいえば、景気が良くて利上げが必要
な国の通貨が買われ、景気が悪く、利下げ
や量的緩和が行われる国の通貨は売られる
という傾向があり、経済の状況、中央銀行
関係者の言動などから、今、中央銀行が
どこへ向かおうとしているかを考えていく
分析方法になります。
金融政策という「森」を見るのが、ファンダメンタル。
木の葉の形や動き
をしっかり確認するのが、
テクニカル分析ともいえます。
ことわざにあるように、テクニカルだけで
十分という人もいますが、それは、木だけ
を見て森を見ていない、状態なのかもしれません。
料理のレシピのような絶対的な配分がある
わけではありません。絶対の正解があるわ
けではありません。
両方のバランスを自分の性格や個性、その
時の相場環境に合わせてチューンする。
その読みが当たって、結果が出ると投資の
楽しさが倍増するものだと思います。
みなさんも自分だけのオリジナルファンダ
を見つけてみましょう。