11月、米国雇用統計の影響【10月28日週刊レポート】

10月4週目の為替相場を振り返ります。

月末に差し掛かっていますが、1週間の具体的な動きや11月の見通しまで詳しく見ていきましょう。

USD/JPYの振り返り

USD/JPYの1週間を振り返ります。

以下は、USD/JPY30分足の様子です。

1週間通じて円安の相場になりました。

円安が加速した要因は以下の通りです。

  • 米経済の堅調さ
  • 米利下げペースが鈍化するとの見方が強まる
  • 日銀の追加利上げが当分行われないだろうという市場の楽観

一時は懸念されていた米経済ですが、直近では各指標で堅調な動きを見せています。

大幅利上げで受けた影響は限定的との見方から、米ドルの買いが進みました。

また、インフレ率に関してはあまり改善が見られていないとされており、今後の利下げペースは鈍化するとの見通しです。

一方で日本の金利は追加利上げの可能性が低いと見られており、金利差が維持されるとの見通しから上昇しました。

週の最初から徐々に上昇し、10月23日の米時間には一時153円台までの円安水準となりました。

しかし、10月24日に財務相が円安をけん制する発言をしたことで為替介入の可能性が市場で蔓延します。

結果、円安は一服し一時151円台まで下落しました。

週末にかけては調整が入り、152円台の円安水準で終値を迎えています。

今週のポイント(テクニカル)

今週のUSD/JPY相場をテクニカル面から分析していきます。

以下は、USD/JPY日足チャートです。

今週のUSD/JPY相場は、直近の二つの価格帯が重要になってくると考えられます。

まずは、現在価格である152円後半〜153円台の価格です。

この価格は2024年4月の安値ラインであり、意識される価格帯です。

現在も強く意識されているので、今週に上抜けしてくれば再度円安の加速と考えて良いでしょう。

次に意識される価格帯は151.5円台の価格帯です。

この価格も2024年前半に意識された価格帯ですが、今後下落するとなれば起点となりそうです。

仮に下落して下抜けすれば、一時的に円安が落ち着く可能性があります。

また、下落したとしても反発するようであれば押し目として機能し、再度直近高値への挑戦と見て良いでしょう。

11月に差しかかるということで、大きな変動になる可能性が高いです。

今週のポイント(ファンダメンタルズ)

今週のUSD/JPY相場に影響しそうなファンダメンタルズ的要因は以下の通りです。

  • 10月31日→日銀金融政策決定会合と植田総裁会見
  • 11月1日→米国雇用統計の影響
  • 10月27日の衆院選の影響
  • 週全体→米大統領選の見通し

経済指標としては、10月31日の日銀金融政策決定会合の影響に注意しましょう。

追加利上げは行われない見通しですが、植田総裁の会見内容次第では円を基軸に大きく動く可能性があります。

また、11月のスタートということで1日の雇用統計には充分注意してください。

今週は、週明けから衆院選の影響で大きく動きそうです。

27日に衆院選がありますが、結果を受けて月曜日には大きな窓を作る可能性もあるでしょう。

11月には米大統領選を控えていることもあり、少なからず影響すると考えられます。

変動要因が多くなっているので注意してください。

EUR/JPYの振り返り

続いて、EUR/JPYの1週間を振り返ります。

以下は、EUR/JPY30分足のチャートです。

EUR/JPYもUSD/JPYと同様に上昇トレンドを形成した1週間でした。

週を通した相場の流れは以下の通りです。

  • 週始め→日銀の金利維持見通しから円安が加速
  • 週半ば→引き続き円売り加速し165円台まで上昇
  • 週後半→円売りは一服するもユーロ買いが強まり停滞

週の最初には、いきなり円の売りが強まりました。

週半ばにかけて上昇が続きますが、日銀の金利動向が影響しています。

今週には日銀の金融政策決定会合がありますが、そこで金利の引き上げがないとの見通しが広がったことが要因です。

結果、10月23日には165円台までの大幅な上昇となりました。

週後半までユーロでの目立った動きはありませんでしたが、週末にかけてはユーロの買いが強まります。

この時は円安も一服していましたが、ユーロ買いが強まったことで下降することはなく、高値圏で停滞したまま終値を迎えています。

今週のポイント(テクニカル)

今週のEUR/JPY相場をテクニカル面で分析していきます。

以下は、EUR/JPYの日足チャートです。

赤い○の現在の価格を見ると、現在は2023年11月に付けた高値を更新していることが分かります。

このまま上昇するとなると、次の上値目途は165.4円台になると見ていいでしょう。

また、週明けにすぐ反発したとしても、2023年11月高値である164円の価格が機能すると見ています。

仮に下落するとすれば、青いラインの161円台後半が意識されると考えられます。現在価格が164円なのでまだ価格差が大きくありますが、ボラティリティが高い相場が続いているので、充分挑戦する可能性はあります。

日足で見ると相場の方向性が決まっていませんが、短期的には上目線です。

短期的な方向性を見ながら分析していきましょう。

今週の見通し(ファンダメンタルズ)

今週のEUR/JPYに影響しそうなファンダメンタルズ的要因は以下の通りです。

  • 10月30日→ドイツ、欧州のGDP速報値発表の影響
  • 10月31日→日銀政策決定会合や植田総裁の会見
  • 10月31日→欧州消費者物価指数によるインフレ率の影響
  • 週全体→衆議院選の影響が週明けから出る可能性

経済指標では、まず10月30日のドイツ、欧州のGDP速報値に注目です。

欧州経済は悪化が懸念されているため、結果次第ではユーロの売りが強まると見ています。

10月31日には欧州消費者物価指数が発表されるので、インフレ率が改善されているかが焦点になるでしょう。

同日には日銀の政策金融決定会合もあるので、円での変動に注意してください。

また、衆院選の影響が週明けから顕著に出る可能性もあるので、窓を付けた場合は特に注意してください。

EUR/USDの振り返り

最後に、EUR/USDの1週間の振り返りを行います。

以下は、EUR/USD30分足チャートです。

EUR/USDは、以下のような要因で変動しました。

  • 週始め→米経済堅調さから米ドル買い進む
  • 週半ば→EU経済悪化懸念と米金利維持の見通しから再下落
  • 週後半→調整入り米ドル売り、ユーロ買いから一時的に上昇、なお終値にかけては再下落

週の始めには、米経済の堅調さから米ドル買いが進みます。

一時的な反発も見せますが、下降トレンドが形成された形です。

週の半ばにも下落していますが、週前半~半ばにかけては欧州経済悪化懸念からユーロの売りが強かったと言えるでしょう。

また、米金利維持の見通しも影響し米ドル高が続いています。

週後半に入ると、米ドル買いが一服し上昇に転じました。

ユーロの買いも見られましたが、ショート勢力の決済が入った影響と言えるでしょう。

しかし、終値にかけては再度下落に転じています。

今週のポイント(テクニカル)

次に、EUR/USDの今週のポイントをテクニカル面から見ていきます。

EUR/USDは4時間足で見ていきます。

EUR/USDは、チャートを見ても分かるように2024年9月後半から長期的な下落相場です。

基本的にはこのまま下目線の相場が続くと見ていいでしょう。

ただし、状況に応じて一時的な反発の可能性もあるので、タイミングが重要となります。

現在は2024年8月に付けた安値付近で停滞している相場です。

先週に一度更新はしましたが、まだ明確な更新には至っていません。

1.0078ドルの価格帯を大きく下抜けすれば、再度下降トレンドの継続が予想されます。

今週のポイント(ファンダメンタルズ)

今週のEUR/USDに影響しそうなファンダメンタルズ的要因は以下の通りです。

  • 10月30日→ドイツ、欧州のGDP速報値発表の影響
  • 10月31日→欧州消費者物価指数によるインフレ率の影響
  • 11月1日→米国雇用統計の影響
  • 週全体→米大統領選の見通し

米ドル、ユーロ共に重要指標の影響が大きく出そうです。

ユーロでは、GDP発表や消費者物価指数が変動要因になるでしょう。

米ドルは11月1日の雇用統計が注目されます。

現在は、米経済堅調、欧州経済は悪化の流れで下落が続いているので、同様の結果になれば再度下降トレンドが形成される可能性があるでしょう。

また、米ドルでは大統領選の影響も強く出そうなので注意してください。

まとめ

USD/JPY→金利差維持見通しから上昇相場、日銀金融政策決定会合次第で更なる円安も。

EUR/JPY→円安の影響で上昇、週後半にはユーロ買いも強まり高値圏を推移。欧州経済の悪化が懸念される。

EUR/USD→米ドル買いで長期的な下降トレンド。1.0078ドルの更新で再度下降トレンド形成の可能性。

今週の始めは衆院選の影響が出る可能性もあるので、クロス円相場の動向には特に注目です。

金曜日から11月スタートで重要指標も多いので、高いボラティリティに注意して取引しましょう。

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